栃木産業保健総合支援センターは勤労者の健康確保を図るため、産業保健に携わる皆様のお役に立てるよう努力しております。
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「睡眠の話」 (12月: 遠乗秀樹 相談員)


2016/05/13 15:32

 今回のコラムは、少し本業に近い話題を書かせて頂きました。「睡眠の話」です。我が国の成人の5人に1人が睡眠障害に苦しんでおり、約20人に1人が過去1ヶ月に睡眠薬を服用しているという時代になっております。NHKが5年ごとに実施している国民生活時間調査によりますと、1960年には8時間13分であった平均睡眠時間は、2010年になると、7時間14分と、約1時間短縮しております。世界的にみても、日本は韓国に次いで睡眠時間が短い国になっているようです。よく眠れないことは、個人の単位でみた場合、皆様もご経験がある通り、日中の眠気や倦怠感、イライラ感につながり、社会的にみた場合、仕事の能率の低下に伴う経済的損失、産業事故や交通事故の増加などにつながります。成人の至適睡眠時間は6〜8時間と言われております。
 「眠れない」となった場合は、以下の4つのパターンが出現します。
 1)寝付きが悪い(入眠困難)
 2)眠ってから一晩に2回以上目が覚めて眠れない(中途覚醒)
 3)通常起きる時間より2時間以上早く目が覚めてしまう(早朝覚醒)
 4)眠りが浅く休息感が欠如してしまう(熟眠障害)。
  もし、現在眠れていないとお困りの方がいらっしゃれば、まず、睡眠習慣を見直してみて下さい。
 例えば、寝酒は睡眠を邪魔するものになります。夜間後半に睡眠が浅くなり、中途覚醒や早朝覚醒を誘発することにつながります。「お酒でよく眠れる」は錯覚です。カフェイン(コーヒーやお茶)の摂取は、カフェインの覚醒作用が数時間持続するため、個人差はありますが、夜間の摂取は好ましくありません。喫煙によるニコチン摂取は、交感神経を活発にする作用があるため、就寝前の喫煙は寝付きの悪さにつながる恐れがあります。これらを見直すだけで睡眠が改善される場合があります。私自身は良い睡眠をとるためのポイントは、一定のパターンとリズムであると考えております。
 それでもダメな場合、厚生労働省による「睡眠障害対処の12の指針」を確認しつつ実践してみるのも有効になると思われます。以下の通りです。
  1)睡眠時間は人それぞれ、日中の眠気で困らなければ十分
  2)刺激物を避け、眠る前には自分なりのリラックス法
  3)眠たくなってから床につく。就寝時間にこだわりすぎない
  4)同じ時刻に毎日起床
  5)光の利用でよい睡眠
  6)規則正しい三度の食事、規則的な運動習慣
  7)昼寝をするなら、15時前の20〜30分
  8)眠りが浅い時には、むしろ積極的に遅寝・早起きに
  9)睡眠中の激しいイビキ・呼吸停止や足のぴくつき・むずむず感は要注意
 10)十分眠っても日中の眠気が強い時は専門医に
 11)睡眠薬代わりの寝酒は不眠のもと
 12)睡眠薬は医師の指示で正しく使えば安全