「性格は変わらない」と、言われることが多い。横山・今野両氏の説を引用すると、個人のキャリア開発におけるパーソナリティの仕組みとして、「不変」「難変」「可変」に分類される。
「不変」は遺伝的なもので、気質や素質などが該当する。「難変」は、成長過程で刷り込まれたもので、価値観・美意識など、変わり難いものである。そして「可変」は、自分の意思で獲得した知識・技能などである。この「可変」部分である私たちのキャリア形成やスキルアップの意欲が高ければ、「難変」部分にも影響を及ぼす。
これを自分に置き換えてみると、明らかに、自分が強く影響を受けた人、印象に残る人が浮かんでくる。おまけに、ある程度人生を経てくると、その影響を与えてくれた人との過去を懐かしんだり、当時に浸ったりしたくなってくる。
実は、私が影響を受けた人の一人、小学校の恩師であるY先生と、最近、約半世紀ぶりの再会が叶ったのである。Y先生は事情があって教師を辞職・転居され、私も郷里を離れ、ずっと音信不通の状態だった。当時の先生は、本当に模範的教師と言ってもよいくらい、熱心で意欲的で、一人1人を理解し、全力で向き合う、という印象だった。先日お会いした際に伺ったのだが、皆が学校を嫌にならないよう配慮されていたらしい。
再会のきっかけは、同級生のMさんからの連絡であった。Mさんのお姉さんが偶然Y先生をお見かけしたとの情報から、Mさんが連絡先を懸命に探してくれたのである。Mさんとは同じクラスになったことはないが、生徒会活動でいつも一緒だった。私は1年、彼女は3年時の担任で、"印象深い恩師"は共通だった。彼女とは季節の挨拶を交わす程度だったが、Y先生の近況を聞いた私は、連絡して会う運びとなったことを報告した。するとMさんは、幼小中高まで一緒だったもう一人、Kさんを誘い(躊躇していたらしいが)、車で1時間半かけて来てくれて、当日の協力をしてくれた。Y先生は88歳にも関わらずしっかりとされていて、皆で過ごした時間はとても楽しかった。
Y先生はその後も本を送って下さり、私に影響を与え続けて下さっている。そして、Mさんにお礼を伝えた時、彼女は次のように言ってくれた。「友達だもの、当たり前」と。胸が熱くなった。今後も大切にしたい人たちである。私の難変部分への影響力は、今なお進行形である。