今回のコラムは、少し本業に近い話題を書かせて頂きました。「睡眠の話」です。我が国の成人の5人に1人が睡眠障害に苦しんでおり、約20人に1人が過去1ヶ月に睡眠薬を服用しているという時代になっております。NHKが5年ごとに実施している国民生活時間調査によりますと、1960年には8時間13分であった平均睡眠時間は、2010年になると、7時間14分と、約1時間短縮しております。世界的にみても、日本は韓国に次いで睡眠時間が短い国になっているようです。よく眠れないことは、個人の単位でみた場合、皆様もご経験がある通り、日中の眠気や倦怠感、イライラ感につながり、社会的にみた場合、仕事の能率の低下に伴う経済的損失、産業事故や交通事故の増加などにつながります。成人の至適睡眠時間は6〜8時間と言われております。
「眠れない」となった場合は、以下の4つのパターンが出現します。
1)寝付きが悪い(入眠困難)
2)眠ってから一晩に2回以上目が覚めて眠れない(中途覚醒)
3)通常起きる時間より2時間以上早く目が覚めてしまう(早朝覚醒)
4)眠りが浅く休息感が欠如してしまう(熟眠障害)。
もし、現在眠れていないとお困りの方がいらっしゃれば、まず、睡眠習慣を見直してみて下さい。
例えば、寝酒は睡眠を邪魔するものになります。夜間後半に睡眠が浅くなり、中途覚醒や早朝覚醒を誘発することにつながります。「お酒でよく眠れる」は錯覚です。カフェイン(コーヒーやお茶)の摂取は、カフェインの覚醒作用が数時間持続するため、個人差はありますが、夜間の摂取は好ましくありません。喫煙によるニコチン摂取は、交感神経を活発にする作用があるため、就寝前の喫煙は寝付きの悪さにつながる恐れがあります。これらを見直すだけで睡眠が改善される場合があります。私自身は良い睡眠をとるためのポイントは、一定のパターンとリズムであると考えております。
それでもダメな場合、厚生労働省による「睡眠障害対処の12の指針」を確認しつつ実践してみるのも有効になると思われます。以下の通りです。
1)睡眠時間は人それぞれ、日中の眠気で困らなければ十分
2)刺激物を避け、眠る前には自分なりのリラックス法
3)眠たくなってから床につく。就寝時間にこだわりすぎない
4)同じ時刻に毎日起床
5)光の利用でよい睡眠
6)規則正しい三度の食事、規則的な運動習慣
7)昼寝をするなら、15時前の20〜30分
8)眠りが浅い時には、むしろ積極的に遅寝・早起きに
9)睡眠中の激しいイビキ・呼吸停止や足のぴくつき・むずむず感は要注意
10)十分眠っても日中の眠気が強い時は専門医に
11)睡眠薬代わりの寝酒は不眠のもと
12)睡眠薬は医師の指示で正しく使えば安全
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《編集後記》
例年に比べて昼間は暖かく感じますが、朝夕の冷え込みが身に沁みる季節となりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。
先日12月1日から労働安全衛生法に基づく「ストレスチェック制度」が施行になりました。
このストレスチェック制度につきましては、先日配信しました当支援センターのメルマガの号外でもご案内させていただきましたが、11月24日に、
・事業者向け「厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム」
・ストレスチェック制度に係る「医師向けの面接指導マニュアル」
が公表され、予定されていた「ツール」「マニュアル」等は、全て公表されました。
当支援センターでは、今後、各郡市医師会様との共催で、面接指導の実施者となる「医師」に対する研修を計画しています。
各事業場では、遅くとも平成28年11月30日までに「ストレスチェック(面接指導は、その後で可)」を実施していただくことになりますが、ストレスチェックは、定期健康診断等とは異なり、実施に際して、事業者として、衛生委員会等において、
・事業場内の実施体制、例えば、ストレスチェックの実施者を誰にするのか。
・データーの回収、入力、結果の出力、保存等を行う実施事務従事者を誰にするのか。
・使用する調査票はどうするのか。
・高ストレス者の選定基準をどうするのか。(何点以上とするのか。)
・結果の通知方法はどうするのか。
・面接指導の申出窓口は何処(誰)にするのか。
・面接指導を誰に実施してもらうのか。
等かなり細かい事項を調査審議して、事業者が決定するとともに、規定を定め、労働者に周知する必要があります。
これからストレスチェックの実施に向けた取組みを行われる事業者の皆様は、まずはストレスチェックを何時実施するかを決められて、計画的に調査審議を進めていかなければなりません。
当支援センターでは、ご質問や相談への対応はもとより、メンタルヘルス対策促進員が個別に事業場を訪問してのストレスチェックの導入の支援等を行っていますので、是非、ご活用いただければと思っています。
また、平成28年6月には、労働安全衛生法の改正により、「化学物質のリスクアセスメントの実施」が施行されます。改正法の施行が続きますが、当支援センターでは、ストレスチェック制度に限らず、産業保健活動全般のご支援をさせていただいておりますので、センター事業を是非ご活用いただければと思います。
あわただしい12月ですが、健康かつ安全に良い新年を迎えられますことをご祈念しております。
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