栃木産業保健総合支援センターは勤労者の健康確保を図るため、産業保健に携わる皆様のお役に立てるよう努力しております。
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THP活動による清掃作業者の体力向上に関する調査研究


1995/01/01 10:00


  1. 20〜29才では初め5年位は平均してほぼ零だがその後は(+)が多くS56よりH4年迄を合計すると+21.6才になっていた。
  2. 30〜34才では+−同程度で経過し、合計では+42才であった。
  3. 35〜39才ではS56年から平成4年迄は全体的に(+)で殊にS59年からS62年迄は非常に体力年齢が歴年齢を上回り12年の合計で66.1才体力向上していた。
  4. 40〜44才はS56〜58年迄は体力年齢は歴年齢より低かったが S60年よりH4年迄では体力年齢が歴年齢を大きく上回り、合計では33.8体力向上していた。
  5. 45〜49才で4. とほぼ同じ様な経過で合計は33.2才体力向上していた。
  6. 50〜54才はS56〜S60迄体力が年齢以下であり、その後は体力年齢が止まっているが程度が低い為12年間の合計では約3才とやや体力が歴年齢にまさっているにとどまった。
  7. 55〜69才はS64から3年間各種目への参加不充分で得点計算不能であった。その他の年度における得点は零を前後し、合計も零であった。

4.考 察

12年間体力測定を行ってみて握力は若年者で開始してから最近まで全経過中ほぼ良い得点を獲得している。高齢者は回を重ねる毎にやや良くなっているが総計では、ほぼ同じ得点であった。若年者の反復横とび、垂直とび、ジグザグドリブルは以前も今もほぼ同じ得点であるが、中間層はなれてきた為やや良くなっている。高齢者も同様の理由で回を重ねて良くなっているものの、55〜59才ではS64年以後、病人(循環器系及ぴ腰痛)が多くなった為参加者が少なくなり、有意のデータとは言えない。問題はこの病人の発生することに注目しなければならない。成人病又は作業関連疾病の発生を抑制し、健康保持増進しなければならないのに、休み時間も仕事修了後も早々に風呂に入って、その後の時間をTHPに有意に過ごさず、雑誌・マンガ等や将棋で椅子に座っていて体を動かそうとしないのでは、良い結果は得られない。急歩で、若年者は回を重ねるごとに低下し、体力と言うよりもやる気の問題だと思う。中間層で一時良くなるが、S63年以降は低下している。高齢者も同様の傾向であるが、年によって良い得点を出しているのは、自転車通勤の人が高得点を取り全体を押上ている。それも年毎に車通勤となり、あるいは息子や嫁の通動の際同乗させてもらう様になり、運動不足の為低得点となっている。したがって総計も同様の傾向である。各年度、各年齢層における対象人員及実施した人員とを比較してみると、開始した頃は参加者も程々にあったが、平成になってからは、不参加者が多くなってきてテストヘの熱意が低下してきた。体力年齢と歴年齢と比較してみると、S56〜S59年は全体的にみて歴年齢に比較して体力が落ちている。その後は上昇し35才〜44才迄は16才〜17才体力年令が上回っている。急歩が低調を極め、中だるみになったが、それでも0才〜10才位体力が上回り、合計では20才〜29才・35才〜49才は非常に体力年齢が上昇し平均でも約13才若返っている。

5.結 論

握力は年毎とに少しずつ良くなっており、垂直とび・反復横とびはやや上昇しているが、全体的にはもう少し良くならなければと思う。ジグザグドリブルも同様であるが、高齢者に参加不能者が多くなっている。急歩に至っては各年齢層ともS63年より急速に下降した。惨憺たる低得点であった。

THPがさけばれて表面的には少しずつ良くなっている様だが、内容からみると「笛吹けども踊らず」といった状態であろう。高齢者のテスト参加者の減少あるいは零になっているのは、成人病及び作業関連疾患が増加し、半病入から病人が増えている為と思われた。

急歩は疲れるから適当に歩きましょうでは、どうしたらTHPが行えるのか? 年によって高齢者に急歩で良い得点がみられたことがあったが、これらは自転車通勤者で、とりわけ運動をしているわけではないが、若い者には負けない得点を出していた。

日頃の運動を良くやっていれば、体力測定の成績は良くなると考えられるが、どうすれば運動をするように仕向けられるのかが問題であった。

年2回、衛生教育をやっており、その都度健康保持増進や作業関連疾病について話しを追加していたのだが、効果はみられず、体力測定の結果は、考えていた程は良くなかった。

働く人々の健康の保持・増進には、THP活動の推進が不可欠のものと考えるが、働く人々が自分自身の健康の保持・増進のために、日々のTHP活動がいかに大切なものであるかを、働く人々に如何に認識させるかが重要な問題であり、産業保健関係機関・関係者との連携を図りながら、事業者・労働者の産業保健の意識の高揚に努めなければならない。


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