「騒音職場における管理に関するアンケート」において、「作業環境の測定を実施したい」と回答のあった事業場に対し、再度意志の確認をしたうえで、日本作業環境測定協会北関東支部栃木分会に協力を依頼し、実地調査(19事業場)を行った。
従って、無作為に事業場を選定したわけでは無いので、騒音職場全体の傾向とするには、統計的に無理としても、実際の騒音職場の現況として、ある程度の参考資料になるものと考える。
騒音職場の明示は実地調査事業場において全く無い状態にあり、保護具の使用掲示も3事業場(15.8%)と低調である。 騒音業務の障害について、労働者に意識づけをするうえでも必要と認められ、特に騒音レベルの高い職場における保護具の使用について徹底することが必要である。
作業環境測定を実施している事業場はアンケートによると相当数(78.4%)あるが、実地調査においては、騒音レベルがどの程度か分らない事業場(84.2%)が殆どであった。対策を講じるうえで騒音の実態を知ることが重要であり、測定の徹底を図ることが管理をするうえでのスタートである。
騒音の特殊健康診断の実施率はアンケートによると76.1%とされ、実地調査の実施率52.6%と大きく相違しており、アンケート調査における実施率には、一般定期健康診断の聴力検査を誤って回答されている事業場があると推察される。
特殊健康診断の結果に基づく有所見率17.5%は一般定期健康診断の聴力(4,000ヘルツ)の所見率9.7%に比較すると2倍の所見率となる。
健康診断の実施はもとより事後措置も確実に実施する習慣づけを指導してゆく必要がある。
「騒音障害防止のためのガイドライン」については、アンケート調査において29.4%がよく知っていると回答しているものの、事業場の取り組みに対する優先度において、騒音障害防止は後順位に位置付けられているものと認められる。
騒音障害の防止対策については、作業管理・作業環境管理、健康管理・労働衛生教育ともに不十分であり、今後あらゆる面での当センターの支援が必要と認められる。