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アーク溶接ヒュームの発散状況の可視化への試み(ビデオカメラによる方法)


2001/01/01 09:00

調査研究体制
野見山一生: 栃木産業保健推進センター所長
秋葉 一好: 栃木産業保健推進センター 労働衛生工学担当相談員
小林 一美: 栃木産業保健推進センター 副所長

調査研究結果の概要

1.調査研究の目的

アーク溶接作業に起因する職業性の呼吸器疾患(じん肺)は、作業者が溶接ヒュームにばく露し、それを吸入することが原因であり、ばく露を抑制することにより予防することができる。

しかし、アーク溶接の場合、作業者が移動するため局所排気等の有効な手段をとりにくく、また、溶接作業は作業者が発生源に近接した姿勢で行うので、かなりの量の溶接ヒュームにばく露される。

労働衛生管理を含めた効果的な作業管理を行うためには、作業者自身に溶接ヒュームの発生状況を認識させるとともに、他の作業者にも拡散する様子及び方向を周知させることが必要であるが、溶接ヒュームは一般的に粒経が小さく肉眼では見えにくいものである。

そこで、これらに十分な照明を照射し、光の散乱、いわゆるチンダル現象を利用して肉眼で確認する「ダストランプ法」を参考に、アーク溶接ヒュームの可視化、特に動きのあるビデオカメラによる方法を試みた。

ビデオは動画であり、作業者が自分自身の動き、あるいは作業姿勢及び溶接ヒュームの経時的発生状況を認識することができ、これは有効な衛生教育の材料になりうると考え、試みた。

2.調査研究の方法

  1. 器具

    デジタルビデオムービー:GR−DVL(ビクター)撮影素子38万画素

    ビデオライト(ダンパー付き、100v−500w)

    遮光板:光源からの光が観察者の目または撮影器具に直接入らないようにする。(300mm角のアクリル板)

  2. 光源と撮影位

    神奈川県産業保健推進センターのエアロゾル観察マニュアルにそって、光源とビデオカメラを相対するように設置した。このときランプの光が直接ビデオに入らないように、適当な位置に遮光板を置いて光を遮った。

  3. 室内照明と背景

    室内は暗い方が撮影に適しており、また撮影位置の背景は暗色のほうが観察しやすいが、現場の作業状態そのままを撮影した。

3.調査結果

実際の撮影は、前記2)光源と撮影位置に示す方法で行った。
撮影時間は同一場所で30〜60分実施。
ビデオで撮影し、動画として発散状況を観察したが、本報告書では、連続の溶接作業(10〜60秒)の溶接ヒューム発散状況を、作業開始直後・中間及びヒュームが拡散した時間帯の3枚の写真として掲載した。
撮影場所は、事例1〜7の7カ所である。

4.考察


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