特殊健康診断対象者数は有機溶剤70名、騒音38名、VDT32名、じん肺26名、電離放射線21名であった。
?「異常所見の合う従業員に対して健康診断結果に基づく結果説明」をするが57%、?「殆ど全ての健康診断結果の判定」が32%、?「健康診断結果等に基づく就業制限」が30%、?「健康診断結果に基づく就業制限」が30%であった。
「加重労働に関する通達」が厚生労働省からだされていることを知っているヒトが54%と高い割合で吃驚したが、講習会その他で必要な知識を入手していることが分かった。また、時間外労働をした労働者に対して事業者から情報を提供しているかまで確認していることには安心もし、また、時間外労働をした労働者に対して事業者が情報を提供しいるかまで確認していることには、安心もし、また、驚きも感じた。しかし、76%の医師が時間外労働をした労働者に情報を抵抗するまでに至っていなかった。また、時間外労働をした労働者に対し保健指導の健康診断をした医師は22%に止まっており、多くの認定産業医が知識はあるが産業医として行動するまでには至っていないことが分かった。
ほぼ半数の次号者からメンタルヘルスの相談があった。肉体的な健康保持も大切ではあるが、重苦しい経済不況の現時点では精神的負荷も大きいのであおる。都道府県産業保健推進センターや地域産業保健センターでの「メンタルヘルス相談」を強化し、必要に応じ、「メンタルヘルス」出張相談もすべきかもしれない。
しかし、「産業保健アドバイザーに相談した」という事業者、衛生管理者は、極めて少なかった。
「事業主などが今のところ必要性を感じていないようだ」が41%もあり、従業員や管理監督者に対するメンタルヘルス教育は遅々として進んでいないようであった。
事業者からの意見や相談があったのは半数に止まっていた。「あまり関心がない」、「個人的なことには介入したくない」のか「産業医との関係がそこまで密接になっていないのか」のいづれなのかは分からない。
「勧告をしたことがある」が25%、「意見を述べたことがある」も40%あった。「勧告」はかなり強い助言であるので、事業者と産業医の人間関係が余程密接でないと出来ない行為であるはずなので、1/4の産業医が「勧告」をしたというのには驚いた。「健康診断がキチンと行われていない」とか「健康を害して医学的に休ませてやりたい労働者がいるのに、本人、事業者ともに休みをとらない、とらせない」ということなのかについて、改善のために、再検討する必要がある。
193名中5年未満が57名(30%)で、多く(136名)は5年以上産業医として活躍していた。
半数の産業医が「とくに困っていることはない」といっているが、残り半数の医師は「時間的余裕がない(20%)」、「産業保健に関する知識や経験が不足している(18%)」などと悩みながら産業保健活動に従事している。一方では、「事業者の作業者の健康に対する関心が低い(18%)」、「従業員の産業保健に対する関心が低い(18%)」で「苦戦」というところである。もう少し、頑張っていれば、事後湯者も従業員も産業医活動のありがたさを理解してくれると思うのだが。
昭和60年に栃木県下の産業医活動について調査している(野見山ら:栃木県下の産業医活動活性化に関する研究、産業医学ジャーナル12: 34-40, 1986)。栃木県下の50名以上の事業場1003カ所にアンケート用紙を送付したのち、電話で返事を督促するなどし、最終的には408カ所の事業場(回収率40%)から回答を貰った。主な産業医活動を数値で比較してみたい。
項 目 | 昭和60年 | 平成15年 |
---|---|---|
産業医の出勤頻度(月1回が) | 40% | 58% |
職場巡視の頻度(月1回が) | 40% | 35% |
衛生委員会出席 | 19% | 58% |
以上のように、産業医の出勤頻度が多少増え、産業医が月1回の衛生委員会にキチンと出席するようになった。しかし、職場巡視をする医師の割合は増えているわけではない。
調査のほとんどが「実態調査」で、調査時期は異なるが愛知県、徳島県と比較した。
項 目 | 愛知(平成10年) | 徳島(平成12年) | 栃木(平成15年) |
---|---|---|---|
産業医の出勤頻度(月1回が) | 17% | −% | 58% |
職場巡視の頻度(月1回が) | 21% | 29% | 35% |
衛生委員会出席 | 45% | 25% | 58% |
以上の結果をみて見ると、調査時期は異なるが、栃木の認定産業医はかなりまじめに産業医活動をしていることが分かった。
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