事業場の「従業員数」は多く(83%)は500名未満で、500名以上の事業場は22カ所(17%)に過ぎなかった。
また、産業医をしている事業場の所在市町村(図22-3)は、宇都宮市(25カ所)、小山市(11カ所)、鹿沼市(11カ所)など工業団地所在する市町村に多かった。
専属は僅か2名、嘱託は55名(97%)であった。
事業場の従業員数(図22-5)は100名未満が30カ所、100〜199名が15カ所、200〜1,000名以上が13カ所であった。
専属2名、嘱託は27名であった。
事業場の所在地 (表22-6)
?宇都宮市が9カ所、?鹿沼市が5カ所、?佐野市、今市市が各3カ所、?大平町、野木町が各2カ所で、?他は1カ所であった。
「これ以上、産業医契約を結ぶ余裕はない」が62%に上った。「機会があればもう少し事業場を持ちたい」医師は20%しかいないので、暫くの間は、新規の産業医の養成が必要と考えられた。
「その他の製造業」が26%、「サービス業(医療、教育を含む)」が22%、「機械器具、金属製造業」が15%であった。製造業の作業環境、作業態様の異常も目で見れば分かる問題が多いが、サービス業に関しては種々の特殊な問題を抱えている事業場が少なくないので、じっくりと腰を据えて産業医活動を行って戴きたい。
100人未満の事業場が89カ所、100〜999名の事業場が86カ所、1000人以上の事業場が12カ所、不明が4カ所であった。
月間活動日数が1回の産業医が52%と半数、ついで、年間数回が22%、週1回程度以上が16%であった。
3〜5万円が最も多く31%、次いで、2〜3万円、5〜10万円で、随分と大きな差がみられた。活動日数や巡視、産業衛生委員会出席の有無などで異なってくるのであろう。
日本では、このような実績主義の支払いをすることには慣れていないせいか、来所実績での報酬支払いをしている事業場は5%に過ぎなかった。
1回1〜2万円の謝金を払う事業場が2/3であった。
健康診断の事後措置、健康相談と保健指導が80%で最も多く、次いで、健康診断結果の判定、職場巡視が65%であった。40〜50%が健康保持増進対策に必要な助言、衛生委員会出席であった。
職制としては保健師総数33名(スタッフの59%)、准看護師総数25名(スタッフの45%)が多かった。産業医を常勤にできない事業場では、労働災害その他の折に対処できる医療スタッフとして保健師、准看護師を雇用しているのであろうか。
保健師、看護師または准看護師を配置している事業場が計29カ所、非常勤の保健師、准看護師を1人だけ雇用している事業場が計7カ所あった。
うち、常勤の保健師、看護師+准看護師が1名だけの事業場は19カ所であったが、1事業場だけは常勤の保健師を14名も雇用していた。
常勤の放射線技師を置いている事業場は計10カ所、非常勤の放射線技師を置いている事業場が計2カ所あった。
しかし、常勤の診療放射線技師を15〜20人も雇用している事業場も2カ所あった。
常勤の臨床検査技師を1〜3名置いていた事業場もあったが、他の2カ所の事業場では25名、44名もの臨床検査技師を雇用していた。この事業場は医科大学で、従業員の健康を守るための医療スタッフではなかった。
8カ所の事業場で常勤の薬剤師を置いていた。うち3カ所は3〜17名の薬剤師を雇用してい大規模医療機関の職員であった。
2カ所の事業場で3名または5名の心療内科医を常勤で置いていた。非常勤の心療内科医を入れている事業場も8カ所あった。
常勤の臨床心理士を置いている事業場は2カ所、非常勤の臨床心理士を置いているのは2カ所、計4カ所に過ぎなかった
最も多かったのは「快適な職場環境づくりについて」が61%で、次いで「職場の分煙、喫煙について」が45%、「精神疾患や痴呆性疾患の従業員について」が32%であった。このようなレベルの高い相談事が出来るのは産業保健活動が活発に行われている事業場に違いない。
産業医の51%が「毎回出席する」または「時々出席する」で、産業医の大切な仕事の一つである「衛生委員会出席」がキチンと行われているようであった。
毎月1回は巡視するが35%、2〜3ヶ月に1回巡視するが22%で、産業医が最低限の仕事はしていることが分った。
事業主や工場長に質問する産業医が39%、安全衛生担当者に対して質問する産業医が60%いるということであった。熱心な産業医が本調査に返事を下さったのであろうから高めな数字とは思うが、レベルの高い産業医が増えてきたことを喜びたい。
「引き受ける」が55%、「出来るだけ引き受ける」が39%で、積極的な医師が多いことに喜びを感じる。
?「異常所見のある従業員に対して健康診断結果に基づく結果説明」、?「健 康診断結果に基づく暴露の低減措置などの事後措置」、?「健康診断結果に基づ く専門医への受診勧奨や紹介状の作成」、?殆ど全ての健康診断結果の判定、?一部の従業員の診察、などを行っていた。
異常のある場合には、?おおむね自分で記入する>?殆ど全ての従業員の個人票に自分で記入する>?口頭で述べて他の物が記入>?記入したことがない、ということであり、健康診断結果による指針の決定については、かなり、力を入れていることが分かった。
特殊検診や行政指導などによる健康診断で現在実際に健康診断を実施している項目は有機溶剤取扱い職場が最も多く(71人、41%の医師が担当)、次いで騒音職場(48人、28%の医師が担当)、3番目がVDT職場(43名、25%の医師が担当)であった。
最も多かったのは有機溶剤(65%)、次いで騒音(36%)、VDT(30%)であった。
最も多かったのは、?異常所見のある従業員に対して健康診断結果に基づく結果を説明、?健康診断結果に基づく専門医への受診勧奨や紹介状の作成、?殆んど全ての健康診断結果の判定、?健康診断結果に基づく暴露の低減措置などの事後措置、?殆んど健康診断機関に任せているがデータのチェックは自分で行う、であった。
日本人が極めて勤勉で働き者であるため、少なからぬ労働者が時間外手当を貰うかサービス残業の形で「時間外労働」を行ってきた。しかし、時間外労働が続くと必要な睡眠時間を確保することができないために、「突然死」する労働者が続出する。そこで、厚生労働省は所定の時間を越えて働く労働者の健康を守るために、医師による面接、保健指導、健康診断の実施の有無などをチェックし「突然死」を予防することとしている。