栃木産業保健総合支援センターは勤労者の健康確保を図るため、産業保健に携わる皆様のお役に立てるよう努力しております。
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認定産業医の産業医活動実態調査


2003/01/01 09:00

加重労働に関する通達は知っている栃木県内産業医は54%で、知らない産業医が46%もいた。この一年間、栃木産業保健推進センター、郡市医師会などでの産業医学講習会で「加重労働」の講演を積極的に行なったはずだが、今回の調査では、産業医の80%近くが時間外労働時間を超えた労働者と面接、保健指導、健康診断を実施することに関して充分な知識がないとのこと。地域医師会や地域産業保健センターレベルでの講習回数が充分でなかったのであろうか、それとも、話は聞いたが、記憶に残り現場ですぐに応用できる実務的な講習ではなかったのか。今後、「加重労働」に関する県内講習会の質と量を上げてゆかねばなるまい。

  • 43 時間外労働をした労働者に対する情報提供 (図43-1)

    情報提供をしたは僅かに24%の事業場であった。今後、かなり積極的に広報努力をすることが必要と考えられたが、情報提供を効率的に労働者にも届くようにするためには、かなりの工夫が必要であるように思えた。

  • 44 時間外労働を越えた労働者の面接、保健指導、健康診断の実施の有無 (図44-1)

    欧米、アジアの労働者は所定の時間となると仕事をやり残してもみんなが蟻の子を散らすようにアッという間に帰宅してしまう。ところが、日本の労働者は責任感もあり、また、働くことが好きなのか、所定時間を越えて働いている労働者が少なくない。なかには「サービス残業」という労働の対価を受け取らずに長時間労働をしている労働者も少なからずいる不思議な国でもある。

    日本は「長時間労働をしているために心疾患で急死する労働者が絶えない」国である。このため、長時間労働による労働者の突然死を予防する制度が発足した。「産業医による労働者の面接、保健指導、健康診断実施」の制度であるが、今回の調査では、時間外労働をしている労働者の5人に4人までが「保健指導や健康診断」受けていないという。こうした労働者本人と家族の幸せを守るためには、「保健指導や健康診断を実施しなかった事業場」には大額の罰金を徴収することも必要となってきているのではないかと思案された。

  • 45 従業員のメンタルヘルスについて当該事業者からの相談 (図45-1、図46-1)

    半数近くの産業医が事業者から「従業員のメンタルヘルスの相談」を受ける時代となった。ところが、本格的に「産業精神保健の相談」を受け持てる精神科医師が極めて少ないというのが日本の実態である。

  • 46 その上、精神科以外の医師がこうした問題を抱えたときに「産業精神保健アドバイザー」に相談するということも極めて少ない(図46-1)

    というのが日本の実態である。そこで、「認定産業医」資格取得の講習単位に「産業精神保健の事例検討」を2単位制度の必須項目とするなど、早急な制度改革が必要となっているように感じる。

  • 47 従業員あるいは管理監督者に対するメンタルヘルスに関する教育 (図47-1)

    「従業員の教育をやった」、「管理監督者の教育をやった」それぞれが17% 程度で、41%の事業場では「事業主などが今のところ必要性を感じていないようだ」とのことで、メンタルヘルスに関する教育が全く行われていなかった。また、18%が産業医自身が「今のところ必要性を感じていない」、また、21% の産業医が「メンタルヘルスに関する教育はしたいが、具体的な方法が分からない」ということで全く手つかずの常態であることが判明した。

  • 48 長期間休んだ従業員に対して事業者から相談や意見を求められたか (図48-1)

    「意見を求められた」、「求められなかった」が半々であった。以前より、長期休職者の復職に意見を求める事業者が増えただけ産業医に対する期待が改善されたと理解したい。

  • 49 今まで、働く人の健康管理上の問題で事業者への勧告をしたことがあるか (図49-1)

    「ある」が25%、「意見は述べたことがある」が40%、「ない」が36% であった。産業医は医学的なことについて、必要なことは、強制的か否かは別と して、キチンと事業者に述べ、職責を果たしていることがわかる。

  • 50 産業保健活動を実施する上で、困っていること (図50-1)

    半数が「困っていることはない」で、事業者や産業保健スタッフとの人間関係が理想的な状態を保たれていることが分った。しかし、現実の問題として、時間的余裕がない(29%)、従業員の産業保健に対する関心が低い(18%)や産業保健に関する知識や経験が不足している(18%)などの問題は抱えているようであった。

  • 考 察


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